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住民記録システムの市町村・国の行政機関間のネットワークが実現すると、その住所確認をネットワークを通じて自動的に行うことができるようになる。そうなれば、住民は住民票の写しの交付を受けそれを関係文書に添付し、受理した側では手作業で当該案件と対比するという事務処理が大幅に改善されることになる。行政側および住民側の双方にとって、メリットがあることになる。この本人確認、住所確認事務は、選挙、災害・緊急時、旅券の発給、各種免許の交付、公的年金の現況確認、納税者の住所確認等、様々な分野に及んでいる。

 

現在、基本的事項の検討に関する報告書が発表された段階であり、その後、平成8年9月から11月にかけて、自治大臣主催の懇談会が開催され、具体化に向けた検討が進められたが、この住民記録システムのネットワーク構築のためには、住民基本台帳の改正や、多くの経費が伴うことへの考慮、住民側の協力、特に、プライバシー上の配慮等、多くの解決すべき課題がある。しかしながら、この自治体ネットワークは、今後の行政運営の改善、行政サービスの質の向上への要であり、早急な検討と具体化に向けた施策の確立、実施を推進するべきである。

 

以上のような地方公共団体から、国へのネットワークという面と、上記の霞が関WANへの地方公共団体からのアクセス、利用の可能性も今後、検討されなければならない事項である。特に、霞が関WANが平成9年1月に運用開始になり、電子メールや近い将来にはデーターべースの各省庁間の相互利用が可能になるという状況において、既にLANを構築している都道府県や市から、霞が関WANへの接続要望がでている。

現在の霞が関WANの構成、セキュリティからすれば、これら機関からのアクセスは基本的には問題があるとは考えられず、早急に用意すべきものと考えられる。これら国・地方を通じたネットワークの構築という構想は、「行政情報化推進基本計画」においても明記されたものであることは、既述のとおりである。

 

(4)官民ネットワークの構築

ネットワークに関する議論がにぎやかな中で、欠落しているのが、行政運営と行政サービスの質の向上という観点から最も重要である官民ネットワーク構築の可能性である。従来、どちらかというと行政の閉鎖性から実現が困難であると判断されていたもの

 

 

 

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